『第60回建築士会全国大会 京都大会の記憶+記録』発行のお知らせ


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2017年12月に開催された第60回建築士会全国大会・京都大会には、全国より多くの方々に足をお運びいただき、ありがとうございました。

この度、京都府建築士会では『京都大会の記憶+記録』と題して、足かけ4年に亘る準備と大会の様子をまとめた冊子を発行いたしました。
特に、大会テーマ「山とまちと木造建築」の総まとめとなる記念フォーラムについては、ご参加になれなかった方にもお役に立つ内容となっております。

この冊子は、eBookでご覧いただけます。

数に限りがありますが、ご希望の方には冊子をお送りいたします。
【 A4サイズ 本文60ページ 1冊 1,000円(送料込・税込)】
京都府建築士会事務局までお問い合わせください。

2019年6月

2017年12月7日(木) 大会前日

14:00〜 連合会理事・士会長合同会議             於:京都市勧業館 みやこめっせ   MAP
16:30〜 全国建築士フォーラム                於:京都市勧業館 みやこめっせ
17:00〜 全国ヘリテージマネージャーネットワーク協議会総会  於:京都文化博物館 別館   MAP

2017年12月8日(金) 大会当日

○大会テーマ「山とまちと木造建築」
○ところ:京都市勧業館 みやこめっせ   MAP

2017年12月9日(土)〜10日(日) 地域交流見学会(エクスカーション)18コース

1泊コース              Bコース
1日コース              A,C〜Rコース(全17コース)

大会テーマ「京都で考える 山とまちと木造建築」とは

国土の約66%が森林のわが国では、古代から近世に至るまで、建築といえば木造でした。近代化が一気に進んだ明治以降も公共の大建築物以 外は木造が大部分で、それは昭和の中頃まで引き継がれました。この状況が大きく変化したきっかけは、第二次大戦終戦後の復興期に、木材乱開発で森林資源が枯渇したため、国によって木材消費が抑制されたことと、昭和34年の建築学会による、公共建築の防火・耐風水害を目的とする木造禁止の決議であると考えられます。それ以降、木造建築は住宅等の小規模建築に絞られ、さらに、その後の経済発展による海外の安価な木材の流入が、国内の木材利用を極限にまで弱体化させました。

近年、わが国の森林資源の約40%を占める人工林では、下草刈り、枝打ち、間伐など、必要な手入れができなくなりました。高齢級の成育林を利用せずに放置すれば、森林の成長サイクルは止まってしまいます。森林の保全は、わが国において大きな課題となっています。一方、森林の持つ多面的機能(生物多様性保全、地球環境保全、土砂災害防止機能、文化的な面にいたるまで)の重要性が指摘されています。それらの機能を十分に発揮するための方法の一つが、木材利用なのです。 それを受けて、2010年に施行された「公共建築物等における木材の利用に関する法律」(公共建築木材利用促進法)では、林業の発展と国内材の利用促進を謳い、低層の公共建築物を可能な限り木造化し、内装等も木質化とすることが推奨されました。

今まさに私たち建築士は、森林保護や地域経済振興のみならず、地球環境保全や文化の継承や発展をも担うという木造建築の未来を託されて いるのです。

現代を生きる私たちは、たとえば、茶の湯や華道を通して伝統的な木造建築に親しんできました。近現代においても、京町家に代表されるように、日本の気候風土に適した多様な木造建築が提案されてきました。これらの木造建築は連担して日本らしい(京都らしい)景観を形成し、そこには長い時間をかけて培われた日本(京都)の気候風土における暮らしの知恵が流れています。これらは、さまざまな時代の異なる価値観の建築の共存を図る、新しい景観まちづくりへの展開へと繋がっています。

私たち建築士は、こうした日本における先人の智慧・美意識、そして技術を正しく次代に伝える使命を果たす一方で、昨今の海外における新しい木造建築へのアプローチからも目が離せません。木造建築への様々なムーヴメントを感じる今こそ、日本人の心が生まれながらにして持ち合わせている、山とまちの関係、木の育て方と使い方、これからの木造建築とまちづくりなどを真剣に議論するべきではないでしょうか。