会長挨拶 〜会員・情報・地域・建築士会・次世代とつなぐ〜

一般社団法人京都府建築士会 会長 山領 正

 6月10日に開催された一般社団法人京都府建築士会の令和4年度通常総会において会長職を拝命いたしました。当会は、70年前の1952(昭和32)年に当時の京都大学教授の坂静雄氏を初代会長として発足し、その後、森田慶一氏、大倉三郎氏、吉村栄介氏、望月秀祐氏、井手正己氏、衛藤照夫氏、髙田光雄氏と引き継がれ、私が9代目の会長となります。そして、今年(2022年)は当会の創立70周年を迎える記念すべき年でもあります。

 さて、私たち建築士を取り巻く状況は大きく変わりつつあります。これまで公共建築物の木材利用の促進を図ることを目的としていた「木材利用促進法」が大幅に改正され、建築物一般に対象が拡大されました。2017年の建築士会全国大会京都大会以来、「木の文化を育む建築・まちづくりの推進」をテーマに様々な活動を続ける当会にとって、この法改正は大変心強いバックアップとなります。また、2022年になって急遽閣議決定され、この6月に改正された建築物省エネ法は、原則としてすべての建築物に省エネ基準の適合を義務付けるなど、地球環境問題の解決に向けた一石になるとともに、私たち建築士の果たす役割が更に重要になってくると思います。

 一方、当会を取り巻く状況を見ると、資格者の減少や高齢化による退会などにより、ピーク時には2,500人あまりもいた会員数が1348人(2022年5月末)まで減少し、当会の大きな財源であった瑕疵担保保険の伸び悩みとあいまって、当会の財政や運営は大変厳しい状況にあります。しかしながら、そのような状況にあっても建築士会の活動を止めてしまう訳にはいきません。そこで、2022年度から当会のテーマを『つなぐ』とし、

  • 会員に情報をつなぐ
  • 会員と地域をつなぐ
  • 会員と建築士会をつなぐ
  • 建築士会を次世代につなぐ

 を掲げ、髙田前会長が掲げられた

  • 基盤整備:財政再建、諸規定、保険業務の取組
  • 会員増強:積極的な入会と退会者への取組
  • 情報発信:市民への地域貢献の取組
  • 事業実践:委員会、部会、研究会の活動の取組(木の文化を育む建築・まちづくりの推進)
  • ネットワーク:京都府、京都市、日本建築士会連合会、関係団体、韓国大邱建築士会との取組

の5つの取組を継承しつつ、財政の状況を考慮しながらより一層の会員とのつながりを目指し、大切な次世代の育成に積極的に取り組みます。建築士会のメリットの一つは、建築士の職能としての必要な知識や研鑽を行える場であることです。このことにより、市民の皆様から建築士がより身近な存在となる魅力ある会にしたいと思っています。

 また、コロナ禍において社会はリモートワークやweb会議などに大きくシフトしました。例えコロナ禍が収まったとしても、この流れは大きく変わることはないでしょう。当会としてもそのことを念頭に置きつつ、今後とも事業活動に柔軟な対応が必要だと考えています。

 以上のような方針のもと、建築士としてのスキルアップを目指すとともに、社会貢献活動として地域や市民とつながり協働のまちづくりの推進を目指します。このような活動にあなたも参加してみませんか。

京都府建築士会では、あなたのご入会、そして様々な活動への参加を心からお待ちしています。

2022(令和4)年7月